「マジで? そんなことやっちゃうの?」業界の非常識を常識に変えてきたエイベックスの大改革を突撃インタビュー!

素敵なオフィスを見せてくださり、ありがとうございました!

今回は、HLC会員でもあるエイベックスの北原さんと小川さんに、詳しくお話を聞いていきたいと思います!

エイベックスの「Really! Mad+Pure」というタグライン(企業理念)には、「世の中にバカじゃないの!?と思われるようなことを純粋に追い求めて世の中に驚きを届けていく」という意味が込められています。新たなタグラインやロゴに込められた想い、構造改革とオフィス改革がどのように関わってきたのか、改革によってどのような課題が解決されてきたのか、現在取り組んでいる施策まで、ここでしか聞けない話をたくさんお話しいただきました!


人事と戦略人事が連携して改革

まず始めに、現在の業務内容と構造改革で関わっていたことについて教えてください!


北原さん「私は、2002年に新卒で入社し、販売促進部や営業を経て人事になりました。人事では、現在は採用・研修をメインで担当しているほか、人事企画などにも携わっています。ワークライフバランスプロジェクトを立ち上げ、社員の食生活が心配だったことから食堂を作りたいと立案し、総務の皆さんと一緒にコンセプトや業者選定に携わりました。」

小川さん「私は、2012年に新卒で入社し、東京と大阪でCDやDVDのパッケージ営業を経験した後、配信営業として音楽サブスクリプションサービス全てのローンチに関わりました。その後、構造改革の一貫で会社の横軸機能として立ち上がった、グループ戦略室の中で、戦略人事を担当することとなりました。現在は、経営と対になって社員をエンパワーメントするべく新たな人事領域の制度設計や、採用、育成、オフィスの設計などに携わっています。」


エイベックスさんにおける戦略人事と人事部って、何が違うんですか?

北原さん「戦略人事はCEO直下の部門の中で、経営戦略に基づいた新しい制度や仕組みを中心に担当していて、人事部は子会社人事や労務、採用、研修などのいわゆる人事としての業務を行なっています。ただ、実際はプロジェクトごとに連動して行うことが多いです。」

小川さん「北原も申したように、戦略人事としては、経営と距離が近いことを活かして、経営戦略に基づいた人事領域の制度・施策設計や考えています。その上で人事とも連携しながら議論を進めています。」


小川さんの他に戦略人事を担当されている方は、どんな方なんですか?

小川さん「戦略人事はグループ執行役員の加藤と、私の2人で行っております。大人数を抱えるのではなく、まずは経営と人事のハブになる機能として、日々双方とのディスカッションをしております。グループを横断するファクトも多数でてきているので、今後はさらにもう少し人員を増やし、新たな人事課題と向き合っていきたいなと思っています。」

成功の要因はトップのメッセージ

そもそも、なぜオフィス改革をすることになったのですか?

小川さん「昨今、モノからコトへと価値が変化した世の中のトレンド変化、テクノロジーが進化する外部環境の変化があります。これをチャンスと捉えて、エイベックス自体も進化していかなければという流れで、構造改革に至りました。従業員も増え、企業が目指すビジョンもわかりやすくしないと、腹落ちしない。本来エイベックスが持っていたはずの「業界の常識はエイベックスの非常識」というマインドを、構造改革の機会で言語化するために、ロゴやタグライン(企業理念)を変更しました。それが「Really! Mad+Pure」という、世の中にバカじゃないのと思われるようなことも純粋に追い求めて世の中に驚きを届けていくという理念です。そして、この理念に基づく構造改革の一環として、風土やオフィスの改革も行われました。」

実際に構造改革が行われて、お二人は変化を実感しておりますか?

小川さん「今回の構造改革は組織・制度・風土・オフィスの4つを柱にしています。組織についてはフラット化や管理職の権限委譲、重複組織の統合を、人事制度ついては評価制度や配置変更、1on1の導入などを、風土については行動規範を叶えたいことにフォーカスを当てるように変更したり、チャレンジする風土を作るために新規事業創出機会の提供を行いました。そしてオフィスについては会社の目指すべき未来を元に、新社屋の設計に至りました。これら全てに共通している成功した部分は、トップからのコミットがあったところだと思います。トップがコミットしたことを、全社一丸となって動けることはエイベックスの強みだと思います。」

北原さん「改革前は、管理職のスキル不足や結局年功序列になっているという声が少なからずありましたが「マネジメントはあくまで役割でありどちらも偉さは関係ない」というメッセージと共に管理職を3割減らし、かなりインパクトのある昇降格や若手の抜擢を行いました。またこれまできちんと行っていなかった管理職研修を1年かけて行い、新人もベテランも一緒になって改めてマネジメントのベーシックな部分から取り組んでもらいました。あと、経営理念と行動規範の変更は大きかったと思います。経営理念を評価軸に取り入れたり、理念に基づいた表彰制度を作ったりと、社員がエイベックスマインドを常に意識できるようになってきているように思います。同時に働き方改革も行っていますが、フリーアドレス・コアタイムなしフレックス・フリーロケーションの3つの頭文字を取ってFFF(トリプルエフ)制度を導入し、とても働きやすい環境になりました。私が入社した時にこの状態を見たら「嘘でしょ!?」と思うくらい大きな変化をしています。」


トップからのメッセージはどのように伝えられたのですか?

北原さん「普段松浦は人前であまり多くを語らないのですが、今回の一連の改革では様々な場面で自らが前に立ち、社員に直接話をしていました。また、雑誌の取材記事や著書にもその時の思いがたくさん詰まっています。」

小川さん「本音でこうしたいということを伝えてくれていました。松浦が本当に思っていることを本音で包み隠さず伝えてくれていたので、メッセージとしては直接届いてきました。」


変化に伴ったネガティブな声などありましたか?

北原さん「もちろん色んな声はありますが、環境や会社の変化と共に社員も変化していかなければならないと思っています。人事としては、その変化に対応して結果を出している人にきちんと報いてあげるための制度作りを日々行っている状況です。」


制度を作ってから社内に浸透させるまでの浸透のさせかたで工夫したことはありますか?

北原さん「今までは制度を変えても社員の皆さんに丁寧に説明する機会が少なく、現場からは「人事が言うことは難しい!」と言われることもあったので、説明会や研修を頻度高く行ったり、特設サイトを作ったりしていかに伝わりやすくするかを工夫をしています。弊社の社員は細かいことが苦手な人が多いのですが、苦手意識を持ちやすい社員に対しても、気軽に、距離が遠くならないようにしたいと思っています。」


イベントも実施される社内食堂

オフィス改革ではどんなところに気をつけていましたか?

小川さん「「オープンイノベーション」「コミュニケーション」「コラボレーション」の3つを軸にしていました。元々は5年前にビルの老朽化に伴って建て直す予定でしたが、その最中に構造改革が行われ、それに伴ったかたちで、オフィスについて考え方を見直す必要がありました。なので、ほぼ決まっていた設計を急遽大幅に変更することにしました。

前経営メンバーがアメリカ西海岸にある企業のオフィスを見に行く機会もあり、参考にはしつつも、先程あげた3つの軸を元に、今ある土地や立地をどのように活かすのか設計を行いました。」

当初のオフィスから変える時に何が一番大変でしたか?

小川さん「5年前の設計上で、大掛かりな作り込みは完了していることや、細かい部分ですと配管や防災のルールがすでに出来てしまっていたため、その制約の中で作っていくのが大変でした。オフィスとしての制度設計をする際には、懸念もありましたが、テクノロジーで解決できる部分もあると思います。例えば、全席フリーアドレスにするにあたっても、IoTを使ってどこに誰がいるのかを把握するシステムを導入することで、コミュニケーションの障害を少しでも無くしたりしていきました。そもそも構造改革の背景にはテクノロジーの進化もあるので、それを使って事業もビルもさらなる進化をさせていきたいと思います。」


オフィスの中でお気に入りの場所はどこですか?

小川さん「私は社員食堂です。それまでは社員が自然と集まるような引力のある場所がなかったんです。オフィスはフリーアドレスでどこで働いても良いんですけど、食という軸で社員が集まってくるので、社員の顔が見えたりコミュニケーションが取れる場がここにあるのは良いですね。」

北原さん「食堂では月に1回、小川さんが主催のしてHappyHourもやっていて、当社アーティストがきてパフォーマンスしたり、社員は無料で飲食できるようになっています。1回のイベントに400人くらい集まります。」

小川さん「もともとフラットなコミュニケーションが出来る場を作りたいと思っていて、エンタメの会社なのでせっかくなら普段アーティストと接点の無い社員が、ライブを見れたりなど、エンタメの要素も入れるようにしました。そうすることで、管理部門などの普段現場に出ない社員も仕事の延長線上に誰がいるのかを実感できたり、アーティストは社員に感謝を伝えられる機会になっています。これからいろいろ他のイベントもやろうと思っています。」

北原さん「私も社員食堂です。社員食堂の立案にも携わっていたので、個人的にも想いのこもった場所です。最初は段々来る人が減るんじゃないかと心配していたのですが、未だ毎日最低300食くらい出ていると聞いてとても嬉しく思っています。定食を中心とした健康メニューを作ってくれる業者さんを自分でネットで探して給食事業だけを70年以上実直にやって来られた業者さんに飛び込みで電話をしてお願いしました。担当の方にお話を聞いたところ、弊社は他社と比べてカレーやラーメンのでる率が極端に低いんだそうです。企画時に想定していた「安価で健康的なものを食べたい」というニーズにマッチしたものが出来てホッとしていますし、楽しく働くためにも会社としても社員には元気であってほしいなと思っています。」

お二人の業務から全社の構造改革まで、内容の濃いお話を聞かせていただきました。

テクノロジーをどう活用するかや社員食堂の業者選定など、細部まで考えぬいて「Really! (まじで!?)」が詰め込まれたオフィスが作られたのだと実感しました。

北原さん、小川さん、本当にありがとうございました!

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