今後日本の労働人口はどんどん減少していきます。
それを支えていくためには、AIによる仕事の自動化や外国人労働者も勿論必要ですが、女性の社会進出並びに活躍が不可欠なのです。
今や多様な生き方、働き方が認められており、女性も長く働くのが当たり前になりつつあります。しかし、ライフイベントの多い女性が長く働くためには会社に何が必要なのでしょうか?
いま国をあげて取り組んでいる状況ですが、上手く施策が回っている会社は少ないのではないでしょうか?
今回は、そんな会社から見た女性の働き方改革の課題と成功事例について見てきます。
女性活躍制度が上手くいかない
①管理職に女性が少ない
女性の労働者は以前と比べて順調に増えておりますが、管理職になると未だに低いままでほとんど変わりません。
さらに欧米諸国と比べると突出して低く、やはりこの観点では女性の社会進出自体が遅れています。
管理職に男性が多いと、どうしても男性目線での女性活躍施策を考えてしまいます。女性社員のこのような制度があって欲しい、これが認められて欲しいといったような声が反映されず、全く的外れな制度を作ってしまったり、浸透しなかったりという問題が起きます。ただ、今すぐに女性社員を管理職に置くのが難しいという企業も多いかと思います。
その際は、人事制度の設計だけでも任せてみては如何でしょうか?
②取り組み施策が社内に浸透しない
上記の女性管理職数とも関係しますが、制度が作られても使われなければ意味がありません。日本では独特な空気感があるため、あまり使われない制度を私が使うのは気が引けるという方が多いと思います。制度を浸透させるには、個人が何の気兼ねなく使える環境を整えなければなりません。この場合は、女性のトップ層が最初に使う事(お手本を見せる)事で、私も使っていいんだ、という感情を抱かせる事が大切です。
女性のトップ層が率先して制度を使う事で、その他女性社員の制度利用の敷居を下げる事が出来るのでは無いでしょうか?
③取り組み例が少なく、ノウハウが無い
女性の社会進出が国をあげて取り組まれたのは最近の話ですので、取り組み例が少ないのは仕方がありません。しかし、どの企業も共有していないだけで成功と失敗の事例・ノウハウは多くあるのです。特に人事は課題や施策例が社内に留まりがちで、ネットや本にもあまり挙がる事が無く、他社事例を多く知っている人事は少ないでしょう。
今取り組まれている方はお分かりかと思いますが、他社の成功・失敗事例やそのノウハウを知っておく事は自社の人事制度設計においてとても大切になります。
下記に紹介しますが、人事勉強会コミュニティに所属して、他社人事との繋がりを作ったり著名人の講演を聞いてノウハウをインプットするのも1つの手です。
他社事例
ここでは女性活躍推進の人事制度としてサイバーエージェントの「macalon(マカロン)パッケージ」という制度を見ていきます。
サイバーエージェント
サイバーエージェントでは、以前から女性のママ社員率14%や産休・育休後の復帰率96.3%など高い数字を誇っています。従来の出産手当金や時短勤務制度に加えてこのマカロンを導入しました。マカロンには主に5つのポイントがあります。
1.エフ休
女性特有の体調不良の際に、月1回取得できる特別休暇。今後、通常の有給休暇も含め、女性社員が取得する休暇の呼び方を「エフ休」とすることで、利用用途がわからないようにし、取得理由の言いづらさ、取得しづらさを排除します。(エフ=FemaleのFを指します)
2.妊活休暇
不妊治療中の女性社員が、治療のための通院等を目的に、月1回まで取得可能な特別休暇。急な通院や体調等に考慮し、当日取得が可。本休暇取得の際には「エフ休」という言葉を使用することで、周囲に知られず取得が可能。
3.妊活コンシェル
妊活に興味がある社員や、将来の妊娠に不安がある社員が、専門家に月1回30分の個別カウンセリングで相談できる制度。このほかにも、専門医による社内セミナーの開催およびクリニックの紹介を実施。
4.キッズ在宅
子どもの急な発病や登園禁止期間など、子どもの看護時に在宅勤務できる制度。契約した労働時間を上限に利用が可能。
5.キッズデイ休暇
子どもの入園・入学式や親子遠足、参観日といった学校行事や記念日に取得できる特別休暇。年に半日休暇2回の取得が可能。
6.認可外保育園補助
認可保育園・認証保育園に入れないために仕事復帰ができない社員を対象に、高額な認可外保育園料の一部を会社が負担することで社員の仕事復帰を促進する制度。認可保育園と認可外保育園の保育料差額を支給します。渋谷にオフィスを構える当社では、通勤ラッシュ時の登園に抵抗を示す社員の声が大きかったことから、事業所内保育園の設置ではなく、認可外保育園料の一部を補助することで、社員の仕事復帰を促進します。
7.おちか区ランチ
居住する市区町村によって異なる保活情報や育児にまつわる情報について、ママ社員同士で情報交換・相談できるよう、同じ市区町村に住むママ社員(妊娠中のプレママ社員・産休育休中のママ社員も含む)が集まるランチ代を会社が補助する制度です。同じ市区町村に住むママ社員が4名以上集まれば実施が可能で、4ヶ月に1回、一人当たり3,000円のランチ代を会社が負担します。
8.ママ報
ママ社員向けの社内報。育児と仕事を両立するママ社員の経験談や、会社の最新情報を掲載し、ママ社員同士はもちろん、産休・育休中の社員にも自宅へ郵送することで、産休・育休中の社員と会社とをつなぐことを目指します。
この制度でサイバーエージェントではママ社員がより活躍し易く、よりママになりやすい環境づくりに取り組んでいます。是非ご参考下さい。
他社との交流
女性社員を活躍させようとする企業は沢山あります。
大切なのはその企業の失敗や成功事例、ノウハウを共有する事で、自社に合ったオリジナルな制度を作る事なのです。
人事勉強会コミュニティ「HLC(Human Resource Learning Community)」
人事領域における著名人とのディスカッションから自社課題や過去施策の共有、その成功例や失敗例まで様々な事を一緒に学ぶコミュニティです。
人事ノウハウを学ぶだけでなく、他社の人事・リーダーたちとの情報交換、会員たちが主体的になる実践的な勉強会もあります。
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